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LYR

2018

今日まで様々な椅子がデザインされてきた。その形状は、数えきれないほどの種類があり、すでに形自体に大した意味はなくなりつつある。かといって、単純に素材だけで、新しい椅子の在り方という問題を乗り越えられるとは思わない。
ある時はその存在自体がありふれた風景の一部になり、またある時はその存在が異常に存在感を表徴する。そんな椅子が作れないかと思っている。
それは、風景という見方によって変化する二次元と三次元の知覚の問題にも関係するのではないかと思う。そして例えば、二次元と三次元の中間に存在するような椅子が作れたら、新しい椅子に近づけるのではないかと思った。

ドット(斑点)が、与えられる対象とは全く無関係に、あるモノの表面を覆い尽くしたらどうなるであろうか?絵画やグラフィックデザインではよくあることかもしれないが、それが家具や建築のレベルで立体的に表面を侵食したら、そのモノの見え方、感じ方自体がどのように変容するであろうか?

変容の様子を素直に見届けるため、椅子の形状はできるだけ普通のものとし、素地は出来るだけ白い木肌でかつ硬い木質を持つハードメープルを使用。すべての厚みを40mmに統一することで、出来るだけ見慣れた普通の椅子を装い、各部(座面、脚、背もたれなど)の在り方の差異を無くそうとした。
椅子にドットを施すために、すべての表面にメラミン板を貼り、特殊なルーターで圴一に球状の穴をあけた。そうすることで、さらに各部の在り方は均質になる一方、いわゆる椅子の触感は激変した。

球状にあけられた穴からは、素地のハードメープルが見え、そして感じることもできる。表面のメラミン板は、経年による多少の色のくすみはあるものの、大きな色の変化は起こらない。それに対し、穴から見えるハードメープルは、無塗装にすることで、色などが経年変化して行く。メラミンを白にしたのも、当初のハードメープルの白さから経年変化していく際の色のコントラストを少しでも際立たせるためである。

ドットのような単純なグラフィックが、ある対象を覆いつくすことは、その対象の存在を希薄にすると同時に、くり抜かれたいくつもの球体という立体的なグラフィックパターンの虚体群を想像することも可能である。
ドットに意識を集中すると、椅子はありふれた普通の椅子として意識から遠ざかり、風景へと溶け込んでいく。また白い地の部分に意識を集中すれば、ドットの施された椅子は、普通とはかけ離れた、あまりにも異様な椅子に見えてくる。
この椅子は、そういった意識と無意識の狭間を漂い続ける。

今後この実験家具は、机などにも展開していく予定である。

There is an enormous amount of different chair designed all over the world. In this situation, the shape of a chair is getting to lose its importance rather than the material. But the application of just a new material doesnt help this issue.

What will happen if a chair is covered by a pattern in a three-dimentional way?

The chair called LYR, is a simple shape chair, made of a hard maple with a thickness of 40mm, covered by a white melamine resin facing plane. The hard maple underneath appears by cutting off the resin surface by a lots of sphere shapes composing a dotted pattern three dimensionally.
The melamine facing plane will not be changed so much in contrast to the hard maple, whose color will be changed with time.

This chair gives you two different perceptions; at a glance, you will perceive it as a kind of normal shape chair covered with flat surfaces with a dotted pattern, but if you take a closer look at it, you will find it composed with three-dimensional surfaces, which are quite abnormal.

LYR performs the negative/positive conversion, which gives you two different perceptions, a two-dimensional and a three-dimensional perceptions simultaneously, in order to be stood out from its surroundings, at the same time, to be hidden behind the surroundings,

LYR is positioned between two-dimensional and tree-dimensional world.


■椅子
製作:フルスイング
主材及び仕上げ材:ハードメープル、メラミン
写真撮影:清田千裕
*この作品は、桑沢デザイン研究所における2017年度研修会作品として制作されました。

■ a chair
manufacture: FULLSWING
material: a hard maple, a white melamine resin facing plane
photo: CHIHIRO KIYOTA
*This project is supported by Kuwasawa Design School Workshop 2017.


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